臨済宗建仁寺派神勝禅寺を出て昼食の後、ふくやま美術館へ。
特別展「サンダーソンアーカイブ ウィリアム・モリスと英国の壁紙展 ―美しい生活をもとめて」
美しい版木などにも目を奪われるが、やはり印象的だったのは金唐革紙。
金唐革紙は17世紀、日本に入ってきたスペイン製の金唐革からヒントを得て日本で制作された和紙をベースにしたもの。
1873年、ウィーンの万博に出品したところ、評判となり英国のロットマン社が横浜に自社工場を設立。
同工場にて日本の職人により生産されたという当時の金唐革紙が展示されていた。
和紙とはいえ型押しに加え、塗布された金属の重厚感が加わり独特な風合い。
何故か図録などには写ってないが、耳(端に出来る余白部分)に刻印されたMADE IN JAPANの文字がアツい。
思えば、この時代(1886年あたり)から外資系企業があり、そこに従事した人々がいたというのも何だかアツい。
ここで作られた金唐革紙が海を渡りイギリスで販売されるのだから、さぞ高価な代物だったに違いない。
しかしながら、モリスの本当にアツいところは、手工芸の復興で社会を善くしたかったが叶わず、社会運動へと傾倒していった点である。
モリスは“美しい生活“の実現には、社会そのものを善くしなければならないという考えに辿り着いた。
手工芸の復興だけでは、社会を善くすることがは出来なかったのである。
出版や思想的な活動に重点を置いた後年、モリス商会にはほとんど足を向けなかったという。
しかし、モリスが思い描いた社会主義というユートピアもまたイギリスで実現されることはなかった。
享年62歳。
モリスの本当の魅力はその生き様だ。
展示に、もっとそういったモリスの生き様のようなものが反映されていれば…と思うのは欲張り過ぎか。
な~んて考えながら結果、鑑賞で一番アツかったのは常設展示室なのであったということで次回につづく。
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